筑後川のすぐ近く。自然の恵みをたっぷりと感じられるその場所で、豊かなお酒を育まれている若竹屋酒造場・元禄蔵。
”元禄蔵”というその名前は、今から300年以上前、元禄12年に蔵が建てられたことによります。元禄12年と言えば、江戸時代。赤穂浪士の討ち入りより3年も前のこと。そんなにも長い期間、現役を貫き通している蔵なんですよ。
現社長は当初、酒蔵を継ぐつもりはなかったと言います。しかし、とあることがきっかけとなって、若竹屋の凄さを実感。27歳の時、酒蔵を継ぐため、実家に戻りました。一体何があったのか。お話しを伺いました。
現社長が実家を飛び出したのは、お父さまへの反発から。父親の影響が及ばない、東京へと向かったそうです。そんなある日、東京・西武百貨店にて若竹屋の試飲販売があるとのことで、お小遣い稼ぎになれば……と、軽い気持ちで手伝いをすることに。
しかし、初日に感じたのは、挫折感。まったく売れず、営業の難しさに打ちのめされたのだとか。そして2日目。試行錯誤しながらも自分を変えてみると、その変化に比例するように商品が売れたのだとか。
その時、営業の面白さと感謝の気持ちを強く味わい、感動。商品が売れるということは、お客さまからお金を頂くということ。そして、この場に売るための商品が用意されるためには、多くの人の頑張りがあったからこそ。
人と人の繋がりや、商品の背景に、思いを馳せる機会を得ることとなったそうです。そんな中、試飲販売会で担当したお客さまよりお礼状が届きます。「美味しかった」という言葉と共に「素晴らしい仕事ですね」と書かれており、そのことが、『実家を継ぐ』意思へつながったのだと。
そして今、杜氏さんと力を合わせ、昔ながらの味を守りつつも新たな魅力作りにも挑戦し、若竹屋酒造場・元禄蔵を守っておられるのです。
人気商品である”渓(たに)”は、若竹屋の純米吟醸。原料米は山田錦で、耳納連山の水を使用し、作られています。軽やかな喉ごしと華やかな香り。食材を引き立てるお酒なので、食中酒にピッタリですよ。
“博多練酒(ねりざけ)”は、日本酒の原点とも言えるお酒。原料米はもち米で、2度の発酵の後に臼で引き、絹布で濾して作られます。ヨーグルトのような自然な甘酸っぱさに独特の舌触り。室町時代の味を今に伝えるお酒を味わってみてください。
日本酒は、季節の食材と合うお酒です。飲み方もその時々に応じ、夏は冷やしで、冬は熱燗、そして、氷を入れてロックにするのもおすすめです。
若竹屋酒造場・元禄蔵の今後の予定としては、2020年の春ごろ、スパークリング日本酒の販売を計画されています。また、時期は未定ながら、お酒と文化を知ってもらえるイベント「若竹屋アカデミックカフェ(WAC) 仮称」の開催なども検討中。
どちらも楽しみ!これからの日本酒業界、目が離せませんね。